お前が好きだなんて俺はバカだな
2日も休んで、やっと先輩の姿を学校で見かけた。

私に連絡もなかったのに。

昼休み、先輩を誘おうとしたけど...。

職員室などを行き来しているようで、なかなか声がかけられないまま、結局1人でご飯を食べることに...。

「美咲さん、今日はおひとりなんですか?」

「えりなちゃん...?」

途中で屋上にえりなちゃんがやってきた。

「お兄ちゃんに、寂しそうなうさぎが屋上に一匹いるから、相手をしてやれって、言われたんです。」

「...相変わらずお兄さんも独特な言い方だね...。」

「そういうお兄ちゃんも寂しそうなんですけどね。黒潮さんたちとオンライン昼ごはんで我慢するって言ってました。」

それはとんだ気遣いを...。

「遠谷先輩は、まだ職員室にいるんですか?」

「うん。家庭の用事らしいんだけど、私もよく知らなくて。」

「本人から連絡はないんですか?」

「メールも電話も反応なし。」

「そうなんですか...。それは心配ですよね。」

「うん...。」

空気も少しひんやりとしてきた。

「あっという間にもう秋だね。」

「はい。ここ数日まだ残暑はありますけど、すっかり変わりましたね。」

「うん。そろそろ上に何か着るもの用意しなきゃ...。」

「はい。」

先輩と過ごした夏...。

一緒にいたら、あんまり暑さなんて気にならなかったな...。

...。

「美咲さん、大丈夫ですか?」

「え、うん...。」

「ここだと風もありますし、少し寒いですよね。早いところ中に入りましょうか。」

「うん...。」
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