お前が好きだなんて俺はバカだな
夕方ごろ、先輩から電話がかかってきた。

「家にいるのか?」

「はい。家にいます。
先輩は何してます?」

「ホテルにいる。
今うるさい奴から逃げてきて...。」

「部屋同じなんでしたっけ。
大変ですよね。」

「そう。疲れた。」

「いいじゃないですか。
それも思い出ですよ、きっと。」

「こんなうるさい思い出はいらん。」

「まあまあ、そう言わずに。」

でも、嬉しいな。

先輩から電話くれるなんて。

「近況報告で電話してきたんですか?」

「そうだな。
あと、声聞きたかったから。」

「ほんとですか。嬉しいですね。」

「毎回夕方には電話かけるから出ろよ。」

「わかりました。
先輩これからご飯とかですよね?」

「ああ。」

「いいなー。お魚の料理とか結構美味しいんじゃないですか?」

「そうかな。
分からないけど。」

「...なんか先輩テンション低いですね。
せっかくの旅行なんだから楽しんでくださいよ。」

「お前と一緒なら楽しめたよ俺は。」

「そんなに私と一緒がいいんですか。」

「...帰りたい。」

「もうですか。
明日は楽しいかもしれませんよ。」

「まあ、楽しくはあるけど...。
ちゃんと一緒に共有したいんだよ。
わがままだけど。」

「先輩、可愛いこといいますね。」

「んー...。自覚はないけど。」

「今日の先輩可愛いですよ、すごく。」

「お前だってかわいいよ。」

「先輩...ありがとうございます。
でも、誰かに聞かれたら困りません?」

「気にしねえよ。そんなこと。」

やだ、先輩本当に可愛い...。

「また寝る前に電話する。」

「はい。待ってます。」

...。

ちょっと離れるのもありかな...。
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