お前が好きだなんて俺はバカだな
約束通り、先輩はイルミネーションが見える公園まで連れて行ってくれた。

「綺麗ですね、先輩。」

先輩は頷くだけだった。

その横顔からは、まだ先輩が何を思っているのか知ることができない。

じっと先輩を見つめていると、

「どこみてんだよ。」

と、苦笑いのお叱りが返ってきた。

「先輩が光に照らされて...めちゃくちゃ綺麗です。」

「雑な形容やめてくんないかな。」

「本当ですよ。ピカーってほら、先輩が反射して光ってます。」

「そんなわけあるか。」

こういう冗談も先輩はしっかり返してくれるけど、なんだか表情はいつもより...。

「先輩、寒いですよね。
もう帰りましょうか。」

先輩はまた頷いた。

どうして...私こんなことしちゃったのかな。

本当は先輩のために、どこに行くかとか、何をするかとかずっと考えてた。

でも、直前にやっぱり無駄なことだなって思えてしまう。

もっとちゃんとしなきゃって、思っても結局いつも空回り。

今日は...楽しかったはずなのに。

余計なこと気にしてモヤモヤした気持ちになっちゃう。

なんでだろう。

なんでまた不安なんだろう。
< 209 / 335 >

この作品をシェア

pagetop