お前が好きだなんて俺はバカだな
「さすが君、扱い慣れてるね。」

水を飲んでいる彼の姿を見ながら東條イルマは相変わらずな軽い口調。

とりあえず様子は落ち着いてきたようだ。

少し顔色悪いのが気になるけど。

「じゃあ、私はこれでもう帰りますよ。」

「えー、まだいてよ。美礼くんがちゃんとお家帰れるかわかんないよ。」

「家の場所くらいご存知でしょう?」

「具体的な場所は知らないよ。」

「...課長、気分悪くないですか?
お家までは帰れますよね?」

小さく頷くけど、確かにまだ気がしっかりしてなさそうだ...。

こんなところ、はじめてみた。

よほどお酒が弱点なのか、あるいは...。

「お家って高校のときに住んでいたところと同じところですよね。」

「たぶんそうだよ。」

「その場所まで一応ついていきます。
それでいいですか。」

「ありがとう結野ちゃん。」

本当は不本意だけど。

ここで朝まで寝かせるわけにもいかないし、適当な扱いされて具合悪くなっても明日の仕事困るだろうから、仕方ないか。
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