お前が好きだなんて俺はバカだな

「お待たせー。」

「...あの、いいかげんにしてもらえます？」

「ごめんごめん。
さすがに本人がいる前で話するわけにもいかないからさ。
どうしよう、場所変える？」

ああもう私の帰りたい意思とかどうでもいい感じなんだなこれ。

ため息をつく。

と...。

「お願い。結構大事な話なんだ。」

...。

なんだろう。

それってあの人の話...？

だとしたらそれは私にはもう関係ないことなんじゃ...。

「あの。言っておきますけど、課長はもう私にとっては他人ですからね。」

「わかってるよ。でも、僕だけじゃどうすればいいか分からないからお話ししたいんだよ。他人であろうが身近な人に相談するのは悪いことじゃないよね？」

「でも、それって今じゃなきゃだめなんですか？」

「今じゃなきゃだめ。」

「どうしてですか？」

「お願い。美礼くんには家族っていう人、もういないんだよ。
このままじゃ...。」

え...。

何その沈んだ顔...。

心なしか泣きそうになってるような声で...。

「な、なにが...あったんですか...？」

「...。」

「わ、分かりました。
お話しききますから。」

「ほんと？ありがとう！」

...。