お前が好きだなんて俺はバカだな
「もしもし、イツキどうしたの?」
昼休みごろ、電話がかかってきた。
「今仕事?」
「今はひとまず昼休みだけど...何かあった?」
「いや、
ここ数日、家帰ってないってきいて。」
「えーっと...。」
そういえば、イツキに言うの忘れてた...。
ヒガシも事情知ってるんだからなんとか誤魔化しておいてくれればいいのに。
というかなんで今電話してくるんだ...。
「別にもう姉さんも大人だろうからいいんだけど。まさか新しく男でもできたの?」
「...うーんとね。それが...実は...。」
「何かあったの?」
...。
「ごめん!
美礼さ...えっと、先輩とやり直したの...。」
「え...。」
「ごめん。いきなり泊まり続けてるとか、不信感感じちゃうよね?でも、そんな...何かあるってわけでもなくて...。」
実はたまにあるんだけど...。
「なんで?」
「それは...事情が...。」
「向こうから言ってきたの?それって。」
「ううん、私から...。」
「それで向こうは了承したの?」
「最初は断られたけど、最終的には...。」
「ふーん。」
声が...低くなってる。
絶対怒ってるよこれ...。
「あのね、これには深いわけがあって...。」
「わけありで付き合ってるの?」
「いや、そうじゃなくて。
前、振られたこととか、そういうのはほんとは...あ、」
つっと、電話を取り上げられる。
「もしもし、お電話変わりました。
遠谷美礼です。」
。。。
なんか、見てるだけだし電話越しだけど、弟の威圧的な雰囲気が伝わってくる...。
それに構わず、まるで事後報告みたいに、彼は話を進めていった。
謝罪とかもしてるんだけど...。
弟からの質問に、答え続けてる感じだ...。
私に前話してくれたのと変わらないけど、それでもプライベートでナイーブな話題じゃないみたいに、かしこまった感じで...。
ひと通り報告(?)し終えたあと、何故か彼は少し目を見開いて驚く表情をした。
それからすぐに、微笑みに切り替わって、今度は数年前と同じように、親しく話し始める。
えっと...大丈夫だったのかな...?
「変わってだって。」
「はい...。」
また電話を耳に当てるけど...。
「やばい...やばいよ...。」
「ど、どうしたの...?」
「僕、姉ちゃん振ったあと美礼さん殴っちゃったんだよ...どうしよう...後遺症とか残ってない?」
「大丈夫だよ。そういうのにはめっぽう強い人だから。」
「でも、思いっきりだよ?こう...拳で...。」
「さっき美礼さんも大丈夫だって言ってたでしょ?」
「でも、病気...なんでしょ?
悪化しちゃったかな...。」
こんなに急に慌てられたらそりゃあ彼もびっくりしちゃうだろうな...。
「痛かったかな...。」
「そんなに気にしないでって、本人も言ってるから...。」
「でも...よく考えてみたら痛そうだったよ...。」
「え...。」
なんか、慌てすぎて声が泣きそうになってない...?
「右足の踵上げてた?」
「うん、上げてた...。」
「じゃ、ちょっと痛がってたかも。」
「おい、そのこと絶対見てないだろ。」
「見てますよ。こういう人間観察はヒガシの十八番ですし、イツキもよく教わってたんで。」
「でも...だからって不安を煽ってどうすんだよ...。」
「この際私からも正直に言って欲しいんですけど、痛かったですか?」
「...。」
「美礼さん...。」
ひと息ついてから、落ち着いて話始める。
「...殴られたこと自体はそんなに大したことないけど、やっぱり...その怒りを真に受けたことは精神的に少し辛かった...。」
「ごめんなさい...。」
電話越しの弟の謝罪に、彼は。
「こちらこそ。大切なお姉さんを傷つけるようなことをして、本当にごめんなさい。」
そう丁寧に謝っていた。
これでまた、結目がひとつ解けたような気がした。
昼休みごろ、電話がかかってきた。
「今仕事?」
「今はひとまず昼休みだけど...何かあった?」
「いや、
ここ数日、家帰ってないってきいて。」
「えーっと...。」
そういえば、イツキに言うの忘れてた...。
ヒガシも事情知ってるんだからなんとか誤魔化しておいてくれればいいのに。
というかなんで今電話してくるんだ...。
「別にもう姉さんも大人だろうからいいんだけど。まさか新しく男でもできたの?」
「...うーんとね。それが...実は...。」
「何かあったの?」
...。
「ごめん!
美礼さ...えっと、先輩とやり直したの...。」
「え...。」
「ごめん。いきなり泊まり続けてるとか、不信感感じちゃうよね?でも、そんな...何かあるってわけでもなくて...。」
実はたまにあるんだけど...。
「なんで?」
「それは...事情が...。」
「向こうから言ってきたの?それって。」
「ううん、私から...。」
「それで向こうは了承したの?」
「最初は断られたけど、最終的には...。」
「ふーん。」
声が...低くなってる。
絶対怒ってるよこれ...。
「あのね、これには深いわけがあって...。」
「わけありで付き合ってるの?」
「いや、そうじゃなくて。
前、振られたこととか、そういうのはほんとは...あ、」
つっと、電話を取り上げられる。
「もしもし、お電話変わりました。
遠谷美礼です。」
。。。
なんか、見てるだけだし電話越しだけど、弟の威圧的な雰囲気が伝わってくる...。
それに構わず、まるで事後報告みたいに、彼は話を進めていった。
謝罪とかもしてるんだけど...。
弟からの質問に、答え続けてる感じだ...。
私に前話してくれたのと変わらないけど、それでもプライベートでナイーブな話題じゃないみたいに、かしこまった感じで...。
ひと通り報告(?)し終えたあと、何故か彼は少し目を見開いて驚く表情をした。
それからすぐに、微笑みに切り替わって、今度は数年前と同じように、親しく話し始める。
えっと...大丈夫だったのかな...?
「変わってだって。」
「はい...。」
また電話を耳に当てるけど...。
「やばい...やばいよ...。」
「ど、どうしたの...?」
「僕、姉ちゃん振ったあと美礼さん殴っちゃったんだよ...どうしよう...後遺症とか残ってない?」
「大丈夫だよ。そういうのにはめっぽう強い人だから。」
「でも、思いっきりだよ?こう...拳で...。」
「さっき美礼さんも大丈夫だって言ってたでしょ?」
「でも、病気...なんでしょ?
悪化しちゃったかな...。」
こんなに急に慌てられたらそりゃあ彼もびっくりしちゃうだろうな...。
「痛かったかな...。」
「そんなに気にしないでって、本人も言ってるから...。」
「でも...よく考えてみたら痛そうだったよ...。」
「え...。」
なんか、慌てすぎて声が泣きそうになってない...?
「右足の踵上げてた?」
「うん、上げてた...。」
「じゃ、ちょっと痛がってたかも。」
「おい、そのこと絶対見てないだろ。」
「見てますよ。こういう人間観察はヒガシの十八番ですし、イツキもよく教わってたんで。」
「でも...だからって不安を煽ってどうすんだよ...。」
「この際私からも正直に言って欲しいんですけど、痛かったですか?」
「...。」
「美礼さん...。」
ひと息ついてから、落ち着いて話始める。
「...殴られたこと自体はそんなに大したことないけど、やっぱり...その怒りを真に受けたことは精神的に少し辛かった...。」
「ごめんなさい...。」
電話越しの弟の謝罪に、彼は。
「こちらこそ。大切なお姉さんを傷つけるようなことをして、本当にごめんなさい。」
そう丁寧に謝っていた。
これでまた、結目がひとつ解けたような気がした。