お前が好きだなんて俺はバカだな
だから、いつも何も言えない。

精一杯でこれだけしか...。

「でも、星がこんなに綺麗に見えるなんて知らなかったな。」

「そうだな。
ここは繁華街から少し離れてるから。余計な光もあまり入ってこないし。」

「なんだか...ロマンチックかも...。」

「こういう雰囲気好き?」

「まあ...うん。」

「そっか。それはいい事知った。」

「そう?
美礼くんは、どう...?」

「俺は、2人で同じ景色を見るってことはとても幸せな事だと思うよ。
だから、これからもずっと一緒にいたい。」

「ずっと?」

「そう、ずっと。」

「と、言うと?」

見つめると、彼は愛しむようでいて、
さも切なそうな笑みを浮かべて、私を思い切り抱きしめた。

「ここで輝く月も、星も、そして俺自身も。
ここでずっとお前を縛りつけて離さない。
もう2度と。」

ぎゅっと力がこもる。

こんなに粋なこと言うのも珍しいから、
また、からかってあげようとも思ったけど...。

そんな気持ちにもなれなくて...。

「...あっ」

強引にキスをされる。

「...っ...。」

や...

糸ひいて...る、

もう視線が、
顔があつくて俯いてしまって...。

あ、これ、

指輪...?

「...これ、は...?」

「俺と結婚して。」

「...っ!」

返事をする前に、またキスされる。

返事は、はいかイエスしか許されないみたい...。

「美礼くん...。」

「これから、婚姻届書いて出しにいこう。」

「え、いまから!?」

「これ以上引き伸ばしても意味ないから。」

「あ、明日でも...。」

「...だめ。」

また、笑顔で...。

「い...いけど、こんな夜に大丈夫なの?」

「婚姻届の受理は休みなしでやってるんだよ。役所の時間外受付で。」

そ、そうなんだ...。

「元々平日、役所の時間に合わせて受け付けしてたけど、飛行機の事故で、結婚を約束した多くのカップルが婚姻届を出さないまま亡くなってしまった。そのことをきっかけに休みなく受け付けするようになったんだよ。

明日にはもう会えないかもしれないなんて、そんなことないだろうけど、
でも、もしかしたら...。
俺は心配症だから。もう待てなくて。」

「もしかしてそれで眠れなかったの?」

「そう。」

「なんだぁ...。
最近、どことなくそわそわしてると思ったんだよね。」

「俺、バカだよな。」

「ばーか。
でも、そんなところがだいすき。」

「俺も大好き。
愛してる。」

ずきゅん...っ!

ああ、もう...射抜かれちゃった...。

だめだ...結婚、

けっこん...。

このお方と同じ名字を名乗れる自信がやっぱり私には...。

「あいしてるよ。」

耳元でささやいたらだめ...!

「...顔真っ赤だね。」

「うるさいばーか!( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)」

「かわいいかわいい。」

「もう...!」

ばかばかばかばか!!

やっと、
やっと...一緒になれた...。

「わたしも...あいしてる...。

...っん//」

...結局、婚姻届を出しに行くころには、

夜も更けに更けて...。

...。

とりあえず、私の話はここまで。



ありがとうございました!!
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