お前が好きだなんて俺はバカだな
生徒会
放課後。

久しぶりに、生徒会のメンバーが勢揃いする。

「やあやあ、皆さんお揃いで。
ついにこの季節がやってきましたよっ♪」

小柄のノリノリな女子生徒。

これが、私たちの会長...。

加持白夜(かじびゃくや)。

髪型をボーイッシュに刈りそろえ、なかなかにクセのある感じ...なのだが、

結構顔は美人で、人望も熱く、
とりあえず好かれている。

まあ、やる中身はともかく人を集めたり、動かしたりするのには長けているっていう状態だ。

時に、突っ走っちゃって止まんなくなるときがあるので要注意。

その暴走を止める役割が...。

「会長、まず概要説明を。」

副会長の加持誠(かじまこと)。

苗字から分かるように、2人は兄弟だ。

それも双子。

2人はどちらも3年だけど、会長と副会長は少しの身長の違いと、副会長が眼鏡かけてるぐらいでそこまで差がないので、ぱっと見見分けがつかない...。

「そうそう今年は学園祭めっちゃ早めだから。6月ぐらいにはやっちゃうから。
だからって準備をおろそかにしたくないんだよね。」

「というわけで、会長が言うには、学園祭で何するか話し合えということです。」

「そうそう...。
今までとは一味違う学園祭にしたいのさ。」

...って、言われてもな。

そこで手をあげたのは、2年の薫子正恵(かおるこまさえ)先輩。

書記を務めている。

「ライブを開催するとかどうでしょう。」

「ライブ良いよねー。
皆で盛り上がれるよね!」

会長は賛成したようだ。

「毎年軽音部や芸能部がやってるのって、
あれ、ライブじゃないんですか?」

副会長は冷静にそう返した。

確かに。

「それっぽいのは毎年やってるけど、軽音部内で結成してるバンドメンバーは毎年別公演と被るんですよ。
芸能部に関してはお笑いしかやらないし。」

「そうなんですよ。
今年も別公演と被るんで、主要メンバーは皆そっちいっちゃうって言ってました。」

「なるほど。
...じゃあやっぱ誰がやるんですか!」

うーん...。

結局大前提に戻ってきちゃったな...。

「だから、生徒会でやるんですよ。」

「ライブを?」

「そうそう!
生徒会の面々でライブ開催は絶対成功するって。」

会長と書記は示し合わせていたように意見が合致している。

でも、それって...。

私もやるの?

...タンバリン役でお願いします。

「次期会長候補はどう思う?」

会長が指名したのは、美礼先輩。

そういえば、さっきからずっと黙って話をきいていた。

「いつから俺が次期会長候補になったんですか。一言も言ってないです。」

と、ちゃんと訂正してから、

「それは...会長自身がお得意のドラムをやりたいってことですね。」

副会長以上の冷静沈着。

「そう、バレた?」

「はい、毎年軽音部発表に飛び入り参加してますよね。」

「まあねー。
私はドラム、正恵はギター。
誠はベース。あとはボーカルがいればもうバンド結成できるよ。」

「勝手にベース認定されてる...。」

「てなわけで、ボーカルは、美礼か結野のどっちか。
もしくは2人ともだからねっ!」

「俺は嫌です。」

「私も無理です。」

なんでこんなことに...。

「そもそも軽音部のサブメンバーがいるならその人たちにボーカルやってもらいましょうよ。」

私は必死にそう促すが...。

「音響とか楽曲制作できる人はいるけど、歌が上手いのはいないんだよね。」

「私も歌上手くないですよ。」

「美礼は歌上手いの私、知ってるよ。
美礼の家は芸術家系だからね。」

「...そうなんですか?」

「違う。」

「またまた...。
ピアノやバイオリンやってたでしょ?
賞も取ってたじゃん!」

「え...?
先輩音楽それほどやってないって言ってたじゃないですか。」

「だってそんなに興味なかったから。
真面目にやってなかった。」

「じゃあ、ラプソディー・イン・ブルーも弾けるんですね?」

「美礼なら弾けるでしょー。
こいつ楽譜見るか、一度きけばなんでも弾けるんだよ。ぜったいどんかんってやつだから。」

「それを言うなら絶対音感ですけど...。
そんなことはありません。」

先輩は断固として否定しているが...。

「私が言うのもなんだけど、美礼がピアノ弾いてるのみたら...惚れるよ?」

...!

会長がこっそりこちらに耳打ちしてきた。

めちゃくちゃ気になる...。

「まあ、でも、今回美礼にはボーカルやってもらおうかな?」

「なんでですか...。」

「まあまあ。
とりあえず、どちらが何をするかは、2人に決めてもらいましょう。」

副会長が皆をなだめ、
それから、各事項の確認、決定をして、会議は終了...。

本当にライブやることになるのだろうか...。
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