お前が好きだなんて俺はバカだな
会長や副会長とまだ残って話している先輩を残して、私は一人で帰るため、廊下を歩いている。

すると、そこに。

「あ、白鳥さん。」

白鳥さんがいた。

「どうも。」

白鳥さんは丁寧な礼をした。

律儀な人だな。

「生徒会では、夏休みでも何やら大変みたいですね。」

「はい。
次の行事の準備や、生徒指導がありますから...。」

「それはとてもご立派ですが、無理しないでくださいね。」

「はい、ありがとうございます。
白鳥さんは、夏休みには何か予定とかあるんですか?」

「そうですね...。
特に決まっているわけではありませんが、来年はもう3年になるわけですし、進路も見据えて勉強やガイダンスの参加に力を入れようかなと思ってます。」

「それはさすがです...。
私も見習わなくちゃいけないですね...。」

やっぱり白鳥さんはすごいな。

夏休みだからって、遊ぶわけじゃないんだ。

「いえ、美咲さんもまだ1年生なのに、生徒会に尽力されているなんて、素晴らしいですよ。」

「いえ、私はまだまだです。
みんな、会長や先輩がやってくれる感じなので。」

「それでも、共に頑張ろうと努力しているのですから、立派なことですよ。」

「いえ...。」

私は、努力なんてしていない。

努力なんて、できない。

私は、あの、素晴らしい人々とは違うんだから。

「もしかして、何か、お困りですか?」

「え、いえ...、すみません。」

「もし...僕でよかったら、きっと力になります。
いつでも、お話ししてください。」

「白鳥さん...。」

白鳥さんの、真剣な目...。

白鳥さんの優しい言葉に、私はついに折れてしまった。
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