お前が好きだなんて俺はバカだな

「先輩...。」

「何？」

「ご飯美味しかったですね。」

「ああ。」

「先輩と一緒だったからですかね？」

「...なんだよ、急に。」

「えへへ。
先輩照れてますね？」

「照れてねえよ、ばーか。」

ふふっ。

先輩嬉しそう。

「先輩。
せっかくの夏休みですし、お出かけはできなくても、先輩と一緒にいるのはいいですよね？」

「まあ、別にいいけど。」

「じゃあ、今から先輩の家に言ってもいいですか？」

「は？
いきなりかよ。」

「そうですよ。
私の家には毎回来てるでしょ？先輩の家には私、一回も行ってませんよ？」

「別にいいけど、一人暮らしだから狭いし、何もないぞ。」

「え、先輩、一人暮らしなんですか？」

「ああ。」

そうなんだ...。

先輩、一人暮らしなんだ...。

「一人暮らしって、寂しくないですか？」

「確かに始めはこたえたけど、もう慣れた。」

「私、定期的に訪ねましょうか？
ご飯とか作って持っていきますよ。」

「そんなに俺と過ごしたいのか？」

「はい。お泊まりとかしたいくらいです。」

先輩は、頭をくしゃくしゃした。

でました...愛情表現...。

「お前、そうやって、他の男の家とかにもほいほい行ってんじゃねえだろうな。」

「行ってないですよ。」

「そんなこと言ってると...。
どうなっても知らねえぞ。」

「どうなっちゃうんですか？」

「...。」

先輩は意味深な表情で私の目を見つめると、

おでこをつんと押して、手を離した。

...気になります。

「先輩、ついていってもいいですよね？」

「いいよ。
それで勘弁してくれるなら。」

「仕方ないですね。
もう怒りませんよ。」

先輩はまた、私の頭に手を置いた。

それで今度はなでなでして、

いたずらっぽく笑う。

...それが、たまらないんです...。

危うく、変に甘えた声とか出しそうなとき、先輩はゆっくり手を離して、前へと進んだ。

先輩の家か...。

楽しみだな。