カッコウ
一人リビングに残ったみどり。

今更、孝明を失う怖さに震える。

孝明と付き合いながらみどりは何度も茂樹に抱かれた。

孝明を愛していたのに。茂樹の誘いを断らなかった。

その時の愚かな自分を呪った。
 

孝明にどれほど支えられていたか。

孝明との生活がどんなに幸せだったか。今になって気付いても遅い。

みどりはすべてを失う恐怖にただ震えていた。
これから自分はどうなるのだろう。

孝明は明日、実家に送ると言った。

実家の両親にもすべてを話さなければならない。

そのまま子供達と実家で暮らすのだろうか。

突然帰ってきたみどり達を両親はどう思うだろう。
 
みどりは自分の事しか考えられなかった。

孝明が受けた深い傷や、孝明の生活を変えてしまう責任。

そして二人の子供達のことも。

ただ、これから自分はどうなるのか。

その不安ばかりが頭の中で堂々巡りしていた。
 


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