カッコウ
「お父さん、今日はこれで帰ります。俺もまだ受止められてなくて。すみません。」

両手で顔を擦り、孝明は言う。
 
「孝明君、何て言っていいか。本当に申し訳ない。」

父は孝明に深く頭を下げた。
「いいえ。子供達のこと、宜しくお願いします。もう会わないつもりなので。」

孝明はもう一度手で顔を覆う。
 
「ここにお邪魔するのは、今日が最後だと思っています。」

孝明の決意は子供達への愛情だと、みどりも父も気付いていた。

深く頭を下げる孝明に、
 
「孝明君、許してくれ。本当にすまなかった。」

父も涙声で頭を下げた。
 
 


< 109 / 137 >

この作品をシェア

pagetop