カッコウ
孝明はまた笑ってしまう。

今日、麻美と行くとは言っていないのに。

『せっかちだなあ。』

と思っても嫌な気がしないのは、麻美の性格がサバサバしているからだろう。

そんなことを考えながら、孝明も少し心が弾んでいた。
 


孝明よりも4才年下の麻美は、いつも明るくハキハキと話す。

誰に対しても笑顔で仕事の手際も良い。

孝明が仕事を頼んだ時も、嫌な顔をせず気持ち良く対応してくれた。
 
可愛い顔立ちで、いつも笑顔の麻美は男性行員に人気があった。

それなのに何故、孝明を食事に誘ったのだろう。

『俺なら安全だと思われたかな。』

孝明は苦笑しながら、帰る準備を急いだ。
 
 


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