カッコウ
食事の間中、麻美は他愛ない話しを面白おかしくずっと話している。

麻美の話しにケラケラ笑いながら
 
「ねえ、篠田さんって、いつもそんなにしゃべっているの?」

と孝明は麻美に聞く。
 
「佐山さん、元気ないから。励まそうと思っているんです。」

と頬を膨らませて言った。

孝明はまた笑ってしまう。

そして本当に慰められていることに気付く。
 
「俺、そんなに元気ない?」

孝明が苦笑して聞くと、
 
「この暑さで元気な人、いないですよ。」

と真面目な顔で麻美は言った。
 
「篠田さん、元気じゃない。」

孝明はまた笑ってしまう。
「私のは、空元気です。」

と答える麻美。
 
孝明は、ずっと笑っている自分に気付く。

麻美は個人的なことは何も聞かない。

ただ孝明を楽しませ、寛がせてくれる。
 


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