カッコウ
「篠田さん、俺、バツイチなんだよ。」

孝明は真剣に麻美と付き合いたいと思っていた。

この数カ月、孝明を元気付けてくれた麻美。

孝明がみどりや子供達のことを、乗り越えられたのは麻美のおかげだった。
　
「知っていますよ。最初から。」

麻美の答えは意外だった。
　
「そうなの。じゃあ離婚の理由、聞いてくれる？」

今まで、誰にも言ったことのない話し。

麻美には伝えたい。

そして孝明の気持ちを聞いてほしい。

孝明の話しを、麻美は頷きながら静かに聞いてくれた。孝明が話し終えると、
　
「佐山さん、すごいです。やっぱり思った通りの人でした。」

麻美は目に涙を溜めて言った。
　
「俺のこと、どう思っていたの？」

麻美の言葉に孝明が聞き返す。
　
「すごく誠実な人だと思っていました。思いやりもあるし。だから、どうして離婚したのかな、って少し思っていました。でもそんな事があったなんて。想像の域を超えていました。」

麻美は真面目に言う。

孝明は声を上げて笑う。

麻美は眉間に皺を寄せ
　
「何で笑うんですか。」と孝明に言った。
　
「この話し、秘密だよ。篠田さんだけに話したんだからね。」

孝明は麻美の問いには答えずに言う。

そして頷く麻美に、
　
「俺がバツイチでも、付き合ってもらえるかな。」

孝明は思い切って言う。
　
「はい。」

と麻美は大きく頷く。そして、
　
「すごく嬉しいです。」と俯いた。
　
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