カッコウ
その週の土曜日、孝明はみどりをドライブに誘った。

バイト仲間にシフトを交替してもらう。
 
「珍しいね、みどりちゃんが土曜に休むなんて。」

一つ年下の茜は、快く引き受けてくれた。
 
「うん。これから土曜日はバイト外そうかな。」

まだ孝明と付き合うと、決まったわけではないけれど。

孝明からの誘いが嬉しかったから。
 
「みどりちゃん、もしかして彼できた?」

笑顔で茜に言われて、みどりは首を傾げて微笑む。

孝明の誘いが、昼間のドライブだったことも嬉しかった。

茂樹とは一度もそういうデートをしたことがないから。
 
「そろそろ卒業だからね。」思わせぶりに答えるみどり。

大学も茂樹も卒業しよう。その時は、本気でそう思っていた。
 
 

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