カッコウ
みどりが進学した高校は、中堅レベルの県立高校。

そこで目立っている生徒は、みどりが求めるタイプではない。

髪の毛を派手に染めたり化粧をしたり。バイクの後ろに乗って男子と街を走るような子。
 
みどりは高校では普通に過ごす。

不良グループと思われることは嫌だから。それはみどりの望む“特別”ではない。

もっと正当な特別を手に入れたい。

そう思いながら何もできずに時間は過ぎていく。
 

ただ平凡で、気の良い友達との毎日。みどりの焦燥感は増していく。

高校2年生になるとみどりは、隣町のファーストフード店でアルバイトを始める。

土日と、放課後に一日程度の少ない時間だったけれど、みどりにとって新しい世界は新鮮だった。
 

みどりはそこで知り合った男子と付き合うようになる。

隣町の高校に通う一年先輩。背の高い優しい人だった。

バイト仲間に冷やかされることや、羨ましがられることが嬉しかった。
 

付き合ってすぐに、みどりは彼に体を許した。

未熟な体験は、好奇心でいっぱいだったみどりを失望させた。

マンガやドラマとは違う。歓びも快感もなかった。

学校の友達よりも一歩進んだだけ。でも、それで良かった。その頃のみどりは。
 


< 33 / 137 >

この作品をシェア

pagetop