カッコウ
みどり 4
孝明は頻繁に連絡をしてくれた。

昼間の空いた時間にはメールを。夜、仕事が終わると電話で話した。

水曜日、早めに上がった孝明と待ち合せて食事をする。
 
「みどり、バイトの休みは何曜日?」

デートの予定を決める時に、みどりは聞かれる。
 
「今週は、昨日と土曜が休みだよ。」

みどりが言うと、孝明は笑顔で
 
「じゃあ土曜日、会える?」と聞く。

みどりも笑顔で頷く。
 
「これから、土曜日は休みにするね。」

販売員のアルバイトだから。土日に仕事を入れると孝明とすれ違ってしまう。
「ありがとう。次はどこに行きたい?」

孝明は優しくみどりに聞く。

誰かに大切にされることは嬉しい。

孝明に優しく聞かれて、みどりは忘れていた感覚を思い出す。
 
「どこでもいいよ。孝ちゃんが考えて。」少し甘えて答えるみどり。

『私はこの人と幸せになりたい』

胸に満ちる思いは、茂樹との不毛な関係を忘れさせてくれた。
 
「わかった。楽しみにしていてね。」

孝明の瞳は熱くて。みどりを甘く輝かせる。


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