カッコウ
『明日、時間が取れるよ。』

というメールが茂樹から届いたのは、翌日の昼だった。
 
『ごめんなさい。私、無理です。』

みどりは茂樹の誘いを断ったことはない。
 
『珍しいね。大事な用事?』

いつになくすぐに、茂樹は返信してくる。
 
『私、彼ができたので。先生の言う通り、もう終わりにします。』

みどりは意気揚々と返信をする。
 
『そうなの?一度、会って話そうよ。』

茂樹の驚く顔が浮かび、胸がスッとするみどり。
 
『今週は無理です。』

思い切り冷たく返す。
 
『来週は?いつなら大丈夫?』

茂樹の返信は弱気になり、みどりは少し切なくなってしまう。
 
『まだわかりません。』

もう会わない。メールもしないでほしいと言わないみどり。

断ち切れない心に、逃げ道を作ってしまう。

最後に一度会って、きちんと別れを告げようと。
 
『時間が空いたら連絡して。待っているから。』

茂樹の言葉に、ホッとしていた。
 
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