カッコウ
誰にも相談できず、一人で決断もできないみどりは、孝明に気付かれてしまう。

軽いつわりが始まって物が食べられないみどりに、

「どうしたの、みどり。顔色悪いよ。」

孝明は心配そうに問いかける。
 
「何でもないよ。大丈夫。」

とみどりは答える。

でも大好物のパスタをどうしても口に運べない。

小さくため息をついてフォークを置くみどりに、
 
「そう言えばみどり、今月はまだ来てないよね?」

孝明は不安そうに言う。

どうせ言わなければ手術はできないのだから。

みどりは孝明を見つめて頷く。
 
「本当?」

驚いた目でみどりを見つめる孝明。

でもその目に喜びの色を感じて、みどりは不安になる。
 
「まだ調べてないけど。」

みどりが小さく答えると、
 
「検査薬やってみて。それから病院に行こう。俺、みどりの親に怒られるかな。」

孝明の意外な言葉にみどりは戸惑う。
 

< 66 / 137 >

この作品をシェア

pagetop