カッコウ
初めて会った時から、みどりは同じ年頃の女の子とは違っていた。

落ち着いていて、あまり感情を出さない。

孝明に対してもわがままを言わない。

孝明はみどりのそういう所に興味を持った。
 

みどりはどこか掴みどころがなくて。

孝明が話していても、的外れな返事をすることもあった。

最初はそんなみどりを可愛いと思ったけれど。

孝明は徐々に疲れていった。
 
体を重ねても、みどりはどこかが中途半端で冷めていた。

みどりの体に夢中になっていく孝明は、だんだん空しくなっていた。
 

出産後みどりは、孝明が求めても拒むことが増えていた。

家事や育児が大変だから仕方ないと思い、孝明は徐々にみどりを求めなくなる。

拒否されることが嫌だから。
 

夫婦ってこんなものなのか。

もっと熱く求め合い、ぶつかり合って、理解を深めていくものだと思っていた。

お互いを真剣に見つめて、受止め合うものだと思っていた。

だから孝明は違和感に包まれていく。
 


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