カッコウ
悠翔の誕生は二人を変えた。

みどりの中のわだかまりが少しずつ消えていく。

みどりは大翔を孝明に育てさせている負い目を感じなくなっていった。

悠翔にとって大翔は兄弟だから。

孝明は大翔も悠翔も、同じように可愛がっていたから。
 

みどりが変われば孝明も変わっていく。

みどりから感じていた違和感がなくなって、やっと心が通じ合えた気がしていた。

孝明は家庭に満足し、心から家族を愛していった。
悠翔が3カ月になると、みどりは名古屋に引っ越した。

慣れない土地で小さな子供を抱えての生活は、大変なことも多い。

でも社宅の人達は想像以上に親切だった。

孝明も子育てに協力的でみどりは満足していた。
 
日々、成長する子供達。

家族を温かく包んでくれる孝明。

孝明は仕事も順調で昇進も早い方だった。

みどりは毎日幸せだった。
 

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