カッコウ
これからのことは、何も考えられない。考えたくない。

想像もつかない。

孝明が受ける傷。

子供達のこれからの生活。

どれほど責められても元には戻らない。
 


みどりが無口に青ざめる中、診察室から呼ばれる。
 
「佐山大翔くん。」

みどりは刑の宣告を受けるように、孝明の後に付いて診察室に入っていった。
 
 
「大翔君はB型ですね。」

医師の言葉に孝明は怪訝な顔で聞き返す。
 
「えっ。B型ですか?」

そう言ってみどりを見る。

みどりの蒼ざめた硬い表情から孝明は何かを感じたのだろう。

それ以上、医師には問わずに診察室を出る。

皮肉にも大翔は孝明に抱かれたままで。
 
家に戻っても、孝明はみどりに何も聞かない。

いつもの休日と同じように子供達の相手をする孝明。

いつもと同じ顔で。子供達が眠るまで、みどりを問い質さない。

大翔にも悠翔にも、同じように接してくれる。
 



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