【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
「こうする」
といった途端、
「……っ!?」
抱き抱えられる。
「はなし……」
「じっとしていろ。落下してつぶれたくなければな」
「つぶれ……えぇえ!?」
わたしは
宙に、浮いていた。
(た、高いっ……! 怖いぃぃ!?)
さっきまで自分が立っていた場所が、みるみる遠くなる。
学校の近くを走っていた車が、アリみたいに見えた。
「とっ……飛んで……るぅ!?」
髪、耳、瞳
セロの姿形が変わっている
一瞬のうちに
大きな黒い翼のはえた、悪魔になってしまった――。