【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
セロの言葉に安堵したせいだろう。


泣きそうになった。


それを我慢したのは、また、飲み干したいとかヘンなこと言われても困るから。


ほっぺたペロッて舐められたら嫌だから!


羨ましいくらい細く長い指を、わたしの髪に通してくる。


割れ物に触れるようにそっと扱われるのが、なんだかくすぐったい。


「時々。ああいう輩がでる」


ああいう、やから?


「俺が、あの女に潜在する狂気を引き出してしまった」


…………!


「俺に影響され自我を保てなくなると。何をしでかすかわかったものではない」

「……そんな」


セロがアコ先輩の中の邪悪さを、膨らませてしまったの?


「怖いか。そんな俺が」
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