【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
「……っ」

「優しさなんて知らない。だが。刹那には、そっと触れてやりたくなる。刹那の気持ちをわからずとも考えてやりたくなる」


わたしを抱きしめるセロの腕に、力が入る。


「本当にどうかしていると思う。ただの喰い物だとしかみていなかったヒトを愛してしまうなんて――"愛されたい"と願ってしまうなんて」


セロは、ちゃんとわかってくれているよ。

わたしの気持ちを。


タスクがピンチなときに助けを呼びたかったこと。


雛と友達になれて嬉しかったということ。


タスクがわたしを大事にしてくれているという、そういう気持ちにだって気づけていた。


あなたは気づいていないだけ。

認めたくないのかもしれない。


悪魔(自分)にキレイな心があることわを。


「苦しい」

「くるしい?」

「こんなに俺は刹那でいっぱいなのに。貴様は。俺でない男に恋い焦がれているのだろう?」
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