【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
【柚月さん、ね。僕は黒羽根】
天使みたいな王子には、
〝黒羽根〟
なんて、あんまり似合わないなと思った。
【口にあえばいいんだけど】
あの、甘いマスクの黒羽根くんと
今わたしを抱きかかえ薄笑いしている、
この悪魔みたいな男が
同一人物だっていうの……!?
「まさか俺が、人間風情の前でこの姿を晒すことになるとはな」
なに、それ。
「……まさか。優しい黒羽根くん、に。悪魔が乗り移ったの?」
すると、男がわたしを押し倒した。
「や……っ」
覆い被さってくる、男。
精一杯、顔を背ける。
本当は逃げ出したいけれど、恐怖で手足が震えて動けない。