【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。
おぼろげだった。


屋上

王子

生徒立入禁止


――――2人だけの"ヒミツ"


「ヒミツ……って。なんだっけ」


ああ、そうか。


入っちゃいけないのに忍び込んだから、ヒミツなんだ。


そういえば


お昼寝しよって誘われて。


王子がわたしのことを気になるなんて言い出して。


……いや。


そんなこと言うわけないか。


ひょっとしてわたしは夢をみていたのかな。


どこからが、夢だった?


考えようとしたら、頭がズキズキとして、思い出したこともシャボン玉みたいに弾けて消えていく。


「……へんなの」


まあ、みた夢のこと忘れるなんてよくある話ではあるか。


――ガラッ


引き戸の開く音がした。


保健室の入り口が誰かによって開けられたのだ。


「先生、刹那いる?」


この声……!
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