最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
「お察しの通り。先ほどから貴女様の睨みつけている方こそ、我が主にございます」
(遅かった! 今頃そう呼ばれているのは本来わたくしのはずなのに!)
屈辱に唇を噛みしめる。
「ランプの精、大人しくわたくしの元へ戻りなさい。契約など破棄しておしまい」
「それは無理、不可能というのもですよ。そういうルールですから」
「わたくしに作られておきながら背こうというの? 身の程をわきまえなさい」
「主人の命令には絶対服従。そういうルールにしたのは製作者の魔女様ですが」
まったくもってその通りです。
ランプの所有権は呼び出した人間にある。絶対服従すべきは主というルールを作ったのはメレ本人だ。
「ああっ! こんなことなら主人のさらに上に製作者を加えておけばよかった! わたくしの馬鹿愚か者! 次はそうする、絶対そうしてくれるんだから! 世の中最強は製作者にすべきなのね!? 真理を学んだわ……」
「落ち着けよ、メレディアナ」
「気易く呼ばないでいただける!?」
極上の笑みで呼びかけられようと、頭に血の登った女に効果は見込めない。照れるどころか「この野郎、今すぐランプ返せ!」と口汚い発言を押し止めるのに理性総動員だ。
「こいつに聞いた。お前が自分を作った魔女だってな」
「このおしゃべり!」
非難を込めて睨むが、ランプの精は心外だと顔をしかめる。
「私は主の命に従っただけです」
「ああ、こいつは命令に忠実だった。感謝するぜ。それにしても、そうか……。ということは、これがお前好みの顔か? 良い趣味をしている」
褒められた。
そして嘲笑われた。
馬鹿にされた!
しかしいずれも事実なため、メレは僅かに言葉を詰まらせてしまった。
「あ、メレ様言い返せませんね」
まさかのノネットからの指摘である。敵ではなく己の見方からの攻撃だ。
「貴女どちらの味方なの!」
効果は抜群だった。
「す、すみません! つい口が滑りました!」
「……少し黙っていてちょうだい」
前にも後ろにも見方はいない。最後に頼まれるのはやはり自分だけである。
(遅かった! 今頃そう呼ばれているのは本来わたくしのはずなのに!)
屈辱に唇を噛みしめる。
「ランプの精、大人しくわたくしの元へ戻りなさい。契約など破棄しておしまい」
「それは無理、不可能というのもですよ。そういうルールですから」
「わたくしに作られておきながら背こうというの? 身の程をわきまえなさい」
「主人の命令には絶対服従。そういうルールにしたのは製作者の魔女様ですが」
まったくもってその通りです。
ランプの所有権は呼び出した人間にある。絶対服従すべきは主というルールを作ったのはメレ本人だ。
「ああっ! こんなことなら主人のさらに上に製作者を加えておけばよかった! わたくしの馬鹿愚か者! 次はそうする、絶対そうしてくれるんだから! 世の中最強は製作者にすべきなのね!? 真理を学んだわ……」
「落ち着けよ、メレディアナ」
「気易く呼ばないでいただける!?」
極上の笑みで呼びかけられようと、頭に血の登った女に効果は見込めない。照れるどころか「この野郎、今すぐランプ返せ!」と口汚い発言を押し止めるのに理性総動員だ。
「こいつに聞いた。お前が自分を作った魔女だってな」
「このおしゃべり!」
非難を込めて睨むが、ランプの精は心外だと顔をしかめる。
「私は主の命に従っただけです」
「ああ、こいつは命令に忠実だった。感謝するぜ。それにしても、そうか……。ということは、これがお前好みの顔か? 良い趣味をしている」
褒められた。
そして嘲笑われた。
馬鹿にされた!
しかしいずれも事実なため、メレは僅かに言葉を詰まらせてしまった。
「あ、メレ様言い返せませんね」
まさかのノネットからの指摘である。敵ではなく己の見方からの攻撃だ。
「貴女どちらの味方なの!」
効果は抜群だった。
「す、すみません! つい口が滑りました!」
「……少し黙っていてちょうだい」
前にも後ろにも見方はいない。最後に頼まれるのはやはり自分だけである。