最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
怖ろしいことに、女三人が揃えば会話に終りがない。かわるがわる提供される話題に、紅茶一杯で時間も忘れて夢中になれるのだから……
「――で、貴方は何をニヤついているのかしら」
和やかな空気を振り払い対戦相手を見据えたところ、当の相手はニヤついてばかり。なるほど、まずは精神面から余裕を失わせる作戦かもしれない。
「そう嫌そうな顔をするな。意外だと思っただけさ。俺に対しては言いたい放題のようだが、母や妹相手には普通に接してただろ?」
覗かれていたへの不思議はないし不満もない。敵が家族と慣れあっていれば監視するのも当然だ。
「貴方は罪深いけれど、この家の人間に非はなくてよ。わたくし八つ当たりするほど心は狭くないの。それにお得意様のようだし」
「寛大な魔女殿に感謝するね」
「世辞は不要、とっとと勝負について話しなさい。決めあぐねているようならわたくしに決めさせることね」
「謹んで遠慮させてもらう。お前に任せると殴り合いになりそうだからな。決めたぜ、三本勝負でどうだ」
メレは即座に顔をしかめる。
「三回も勝負を? ずいぶん回りくどいのね。わたくしが一勝して終わりではいけないのかしら」
「俺が一勝して終えてはお前に悪いだろう」
「自信家なことで」
「褒め言葉として受け取るぜ。そうだな、手始めに料理対決なんてどうだ?」
「料理、対決?」
質問することもないほど明確な対決内容だが、料理対決で賞品が魔法のランプとは滑稽だ。
「お前とカティナの会話を聞いて思いついた」
「盗み聞きとは良い趣味ね」
「余計なことを話されても困るからな」
わざと嫌味を口にしても堪えた様子は見られなかった。
「物事を言うべき相手はわきまえているわ。何度も言うけれど、イヴァン家の方々に罪はないの」
「お前……案外良い奴だな」
「――で、貴方は何をニヤついているのかしら」
和やかな空気を振り払い対戦相手を見据えたところ、当の相手はニヤついてばかり。なるほど、まずは精神面から余裕を失わせる作戦かもしれない。
「そう嫌そうな顔をするな。意外だと思っただけさ。俺に対しては言いたい放題のようだが、母や妹相手には普通に接してただろ?」
覗かれていたへの不思議はないし不満もない。敵が家族と慣れあっていれば監視するのも当然だ。
「貴方は罪深いけれど、この家の人間に非はなくてよ。わたくし八つ当たりするほど心は狭くないの。それにお得意様のようだし」
「寛大な魔女殿に感謝するね」
「世辞は不要、とっとと勝負について話しなさい。決めあぐねているようならわたくしに決めさせることね」
「謹んで遠慮させてもらう。お前に任せると殴り合いになりそうだからな。決めたぜ、三本勝負でどうだ」
メレは即座に顔をしかめる。
「三回も勝負を? ずいぶん回りくどいのね。わたくしが一勝して終わりではいけないのかしら」
「俺が一勝して終えてはお前に悪いだろう」
「自信家なことで」
「褒め言葉として受け取るぜ。そうだな、手始めに料理対決なんてどうだ?」
「料理、対決?」
質問することもないほど明確な対決内容だが、料理対決で賞品が魔法のランプとは滑稽だ。
「お前とカティナの会話を聞いて思いついた」
「盗み聞きとは良い趣味ね」
「余計なことを話されても困るからな」
わざと嫌味を口にしても堪えた様子は見られなかった。
「物事を言うべき相手はわきまえているわ。何度も言うけれど、イヴァン家の方々に罪はないの」
「お前……案外良い奴だな」