最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
「定番ですが、楽器の演奏なんてどうです?」
メレが演奏してはどうかという提案だった。
「そうね……」
メレがそれなりと評価した自身の腕前は客観的に評価してもコンクール入賞レベル。披露するには申し分ないが、オルフェに勝てるかという点で判断すれば不安は残る。
「彼は何をするつもりかしら?」
「練習らしき姿は鏡に映っていないよ」
相談役として顔を突き合わせていたカガミが答える。
「そうね。彼は愚かではないもの」
その程度の相手なら今頃苦戦していない。カガミの存在はとっくに知れ渡っているはず。なにせカガミとオルフェは精霊友。
「わたくしが人間の世界でも著名であれば話は簡単だったかしら。『賢者の瞳』は繁盛しているけれど……そうではなくて、たとえば有名女優とか」
「魔女で商会オーナーで有名女優って、本当だったらスペック高すぎですって。でも、だったら魔法でなんとかなりませんか?」
ノネットの案に異を唱えたのはまたしてもカガミである。
「一体どんな魔法を使うんだい?」
「それは……」
魔法は明確なイメージを持って行使するものだ。ただ勝負に勝ちたいと願って解決するものではない。
「魔法……。そう、わたくしはただの商会オーナーで魔女……」
ノネットの言葉を繰り返してみれば、この肩書だけで十分すぎたとメレは笑む。
「そうよ、わたくしには魔法がある。不足は魔法で補えばいい」
「メレ様?」
「ええ本当に、趣味が多くて欲張りなことね。でももっと欲張りなのはわたくしよ。いっそ全部ひっくるめてやりましょう。さあ、本気で勝ちに行くわよ!」
やるべきことが決まったのなら不安を抱いている暇はない。
「カガミはこれから指示する映像を見せて。ノネットは当日のドレスを、コーディネートは任せるわ。必要ならブラン家に戻っても構わないし、カガミも好きに使いなさい。わたくしの魅力を最大限に発揮するものを用意しておいて。あとはタキシードも一着、わたくしの隣に相応しいものを頼むわ」
テキパキと指示を飛ばす。進む道が決まったのなら全力を尽くすだけだ。
メレが演奏してはどうかという提案だった。
「そうね……」
メレがそれなりと評価した自身の腕前は客観的に評価してもコンクール入賞レベル。披露するには申し分ないが、オルフェに勝てるかという点で判断すれば不安は残る。
「彼は何をするつもりかしら?」
「練習らしき姿は鏡に映っていないよ」
相談役として顔を突き合わせていたカガミが答える。
「そうね。彼は愚かではないもの」
その程度の相手なら今頃苦戦していない。カガミの存在はとっくに知れ渡っているはず。なにせカガミとオルフェは精霊友。
「わたくしが人間の世界でも著名であれば話は簡単だったかしら。『賢者の瞳』は繁盛しているけれど……そうではなくて、たとえば有名女優とか」
「魔女で商会オーナーで有名女優って、本当だったらスペック高すぎですって。でも、だったら魔法でなんとかなりませんか?」
ノネットの案に異を唱えたのはまたしてもカガミである。
「一体どんな魔法を使うんだい?」
「それは……」
魔法は明確なイメージを持って行使するものだ。ただ勝負に勝ちたいと願って解決するものではない。
「魔法……。そう、わたくしはただの商会オーナーで魔女……」
ノネットの言葉を繰り返してみれば、この肩書だけで十分すぎたとメレは笑む。
「そうよ、わたくしには魔法がある。不足は魔法で補えばいい」
「メレ様?」
「ええ本当に、趣味が多くて欲張りなことね。でももっと欲張りなのはわたくしよ。いっそ全部ひっくるめてやりましょう。さあ、本気で勝ちに行くわよ!」
やるべきことが決まったのなら不安を抱いている暇はない。
「カガミはこれから指示する映像を見せて。ノネットは当日のドレスを、コーディネートは任せるわ。必要ならブラン家に戻っても構わないし、カガミも好きに使いなさい。わたくしの魅力を最大限に発揮するものを用意しておいて。あとはタキシードも一着、わたくしの隣に相応しいものを頼むわ」
テキパキと指示を飛ばす。進む道が決まったのなら全力を尽くすだけだ。