最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
「なっ、どこから湧いて!?」
「酷い言われようだな。彼は気付いていたようだが」
今度のキースは首を縦に振る。なら教えてほしかった。そんな非難の眼差しを向けてしまうのも仕方がない。
「興味深い話をしているな」
「貴方に聞かせるほど楽しい話はないの。知りたければ、ランプに命令したらいかが?」
皮肉を告げればオルフェは笑みを消した。
「メレディアナ、一つ言っておく。俺はなんでもかんでもあいつに頼る気はない。ましてや他人の秘密を暴くなんて、人と人の間ですることだ。例外として嫌いな奴の秘密は勝手に暴かせてもらうがな」
「貴方……」
その潔さに敬意を表して最後の一言には目を瞑っておくべきか。
「ただ性格が悪いだけではないのね」
悔しいことに、またしても見直す理由を与えられてしまう。勝負は終わっているのに、また負けたような気分を味わわされる。だから――
「誠意に免じて一つだけ聞かせてさしあげる。わたくし昔は内気だったの」
秘密を一つ打ち明けよう。これで相殺だ。
「失礼、聞き違えたようだ。誰が?」
「だからわたくしが! 昔はいつも俯いてばかりいたのよ。たくさんの方に師事して回るうちに自信をつけて、ようやく今のように振る舞えるようになったわ」
「メレディアナ、本当にキャラ、変わったよね。俺も見習わないと。でも……やっぱり、難しいかな」
「貴方にだって出来るわ。おかげで今日は助かったもの。あとは努力と根性が足りないだけよ」
「そうだね、でも……俺は、これでいい」
「またそうして諦めてしまうのね」
あっさり努力を放棄する。そしてまた帰って棺桶に閉じこもるのだろう。
いくら残念そうに呟こうとキースが反論することはない。その通りだと認めているも同然だ。ならばこれ以上、この顔触れで世間話を続ける理由もない。
「わたくし席を外させてもらうわね。せっかく参加したからには顔と名前を売って損はないもの。キース、貴方の交友関係に口を挟むつもりはないけれど、オルフェリゼ・イヴァンは敵よ。あまり個人情報を漏らさないよう注意してちょうだい」
メレは釘をさしてからその場を離れた。とはいえオルフェとキースの組み合わせは気になるものである。余計なことを話されては困るし、キースのコミュニケーション能力にも不安を覚えていた。
「酷い言われようだな。彼は気付いていたようだが」
今度のキースは首を縦に振る。なら教えてほしかった。そんな非難の眼差しを向けてしまうのも仕方がない。
「興味深い話をしているな」
「貴方に聞かせるほど楽しい話はないの。知りたければ、ランプに命令したらいかが?」
皮肉を告げればオルフェは笑みを消した。
「メレディアナ、一つ言っておく。俺はなんでもかんでもあいつに頼る気はない。ましてや他人の秘密を暴くなんて、人と人の間ですることだ。例外として嫌いな奴の秘密は勝手に暴かせてもらうがな」
「貴方……」
その潔さに敬意を表して最後の一言には目を瞑っておくべきか。
「ただ性格が悪いだけではないのね」
悔しいことに、またしても見直す理由を与えられてしまう。勝負は終わっているのに、また負けたような気分を味わわされる。だから――
「誠意に免じて一つだけ聞かせてさしあげる。わたくし昔は内気だったの」
秘密を一つ打ち明けよう。これで相殺だ。
「失礼、聞き違えたようだ。誰が?」
「だからわたくしが! 昔はいつも俯いてばかりいたのよ。たくさんの方に師事して回るうちに自信をつけて、ようやく今のように振る舞えるようになったわ」
「メレディアナ、本当にキャラ、変わったよね。俺も見習わないと。でも……やっぱり、難しいかな」
「貴方にだって出来るわ。おかげで今日は助かったもの。あとは努力と根性が足りないだけよ」
「そうだね、でも……俺は、これでいい」
「またそうして諦めてしまうのね」
あっさり努力を放棄する。そしてまた帰って棺桶に閉じこもるのだろう。
いくら残念そうに呟こうとキースが反論することはない。その通りだと認めているも同然だ。ならばこれ以上、この顔触れで世間話を続ける理由もない。
「わたくし席を外させてもらうわね。せっかく参加したからには顔と名前を売って損はないもの。キース、貴方の交友関係に口を挟むつもりはないけれど、オルフェリゼ・イヴァンは敵よ。あまり個人情報を漏らさないよう注意してちょうだい」
メレは釘をさしてからその場を離れた。とはいえオルフェとキースの組み合わせは気になるものである。余計なことを話されては困るし、キースのコミュニケーション能力にも不安を覚えていた。