最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
第三の勝負
一夜明けるとメレはカガミを通じてブラン家に戻り、地下に建設された研究施設にこもっていた。鏡の先はエイベラのキース低へと繋がっている。
カガミの向こうで連絡を取る相手はノネットで、エセルの配下が屋敷を訪ねて来たというのだ。メレの不在を伝えはしたが、それでもマークが外れていないそうだ。既に綺麗な婚約者がいるというのに呆れてしまう。
「エセル・シューミットの件は引き続き放置。警戒は怠らないとしても、こちらから動く必要はないわ」
この勝負に勝てば元の生活が待っている。さすがに領地まで追い回すような真似はしないだろう。しても撃退してくれる。
「イエス、メレ様! メレ様には近寄らせません。僕は鉄壁の守備です!」
「頼もしいわ。さっそく本題に移るけれど、ノネットは白薔薇祭りを知っていて?」
「噂くらいは耳にしていますが詳しくは……。手の内に情報がないのは厳しいですね」
「……あまり当てになる気はしないけれど、ここはエイベラ在宅の友人に話を聞いてみようと思うの。離れて、そっちへ行くわ」
カガミに命じてキース低へ戻った。家中のカーテンは閉め切ってあるのでエセルに感づかれることもない。
「フライパンとお玉、使います?」
何故か用意されている調理器具。明らかに本来と違う用途で差し出されている。
「騒音ごときで起きてくれないから困りものよ。そういえばキースの使い魔たちはどうしているの? ここへ来てから一度もエリーたちを見ていないわ。やけに静かじゃない?」
天井にぶら下がっていた使い魔たちの姿を想像する。
「エリーたちは帰省中だそうですよ。あまりにも休暇がもらえずストライキ、からの一年休養をもぎ取ったそうです。あ、これカガミさん情報なんで確かですよ!」
部屋を訪れたメレは自称棺の精こと吸血鬼を引っ張り出し、間髪いれずに説教を始めた。
「呆れた。使い魔にストライキ? 貴方何をしたの! いいえ言わずもがな。何もしていないのね!」
「寝起きにメレディアナの説教とか、きつい」
棺桶から引きずり出されたキースは血色の悪い顔で嘆く。
カガミの向こうで連絡を取る相手はノネットで、エセルの配下が屋敷を訪ねて来たというのだ。メレの不在を伝えはしたが、それでもマークが外れていないそうだ。既に綺麗な婚約者がいるというのに呆れてしまう。
「エセル・シューミットの件は引き続き放置。警戒は怠らないとしても、こちらから動く必要はないわ」
この勝負に勝てば元の生活が待っている。さすがに領地まで追い回すような真似はしないだろう。しても撃退してくれる。
「イエス、メレ様! メレ様には近寄らせません。僕は鉄壁の守備です!」
「頼もしいわ。さっそく本題に移るけれど、ノネットは白薔薇祭りを知っていて?」
「噂くらいは耳にしていますが詳しくは……。手の内に情報がないのは厳しいですね」
「……あまり当てになる気はしないけれど、ここはエイベラ在宅の友人に話を聞いてみようと思うの。離れて、そっちへ行くわ」
カガミに命じてキース低へ戻った。家中のカーテンは閉め切ってあるのでエセルに感づかれることもない。
「フライパンとお玉、使います?」
何故か用意されている調理器具。明らかに本来と違う用途で差し出されている。
「騒音ごときで起きてくれないから困りものよ。そういえばキースの使い魔たちはどうしているの? ここへ来てから一度もエリーたちを見ていないわ。やけに静かじゃない?」
天井にぶら下がっていた使い魔たちの姿を想像する。
「エリーたちは帰省中だそうですよ。あまりにも休暇がもらえずストライキ、からの一年休養をもぎ取ったそうです。あ、これカガミさん情報なんで確かですよ!」
部屋を訪れたメレは自称棺の精こと吸血鬼を引っ張り出し、間髪いれずに説教を始めた。
「呆れた。使い魔にストライキ? 貴方何をしたの! いいえ言わずもがな。何もしていないのね!」
「寝起きにメレディアナの説教とか、きつい」
棺桶から引きずり出されたキースは血色の悪い顔で嘆く。