最強の魔女と策士な伯爵~魔法のランプをめぐる攻防~
「ノネット、貴女誤解していない? わたくし後悔したことはないのよ。貴女のおかげで何も捨てずにすんだ。それに、ずっと貴女がいてくれたじゃない」
「メレ様……本当にお人好しですね」
「ノネット。わたくし後悔はしていないし、恨みもしないけれど。今回の件について怒りはするのよ?」
「だ、だって! メレ様が誰かの幸せを願うように、僕らだってメレ様の幸せを願うに決まってます! メレ様も、そろそろ身を固める時期だって!」
主の身を案じて行動してくれた使い魔たちに感謝すべきか、余計なお世話だと非難するべきか。何が敵で味方なのかもはや判別がつかない。混乱するメレを諫めるようにオルフェが前に出る。
「彼らを責めないでやってくれ」
いやお前が言うなと眼を剥いた。
「わたくしの使い魔が迷惑をかけて申し訳なかったとは思っているけれど、人間の婚活にわたくしを巻き込まないでいただける! 妻が欲しいのならランプにでも頼めばいいでしょう。いいわよ、特別に使用を許可するわ。おめでとう、お幸せに!」
衝撃に息継ぎもままならず叫び通す。
「おい。本当にそれをやったとしたら俺はどれだけ惨めな人間だよ」
(……確かに)
ランプに頼って理想の妻を用意してもらう男……もし実行していたら距離はこんなものでは済まないだろう。
「お前に恋して、愛情という感情を見出すことができて良かった。俺はこいつらとの約束を果たせそうだ」
「な、何を勝手に、話を進めているの!?」
それどころかまとめにかかっている気配。
「俺はイヴァン伯爵家の当主、そのためには妻とて利用するつもりでいる。その辺の女じゃ駄目なんだ。お前でなければならないし、お前が良い」
「ちょ、ちょっと!?」
相変わらず話を効かないけれど、捻くれ者の真摯な言葉ほど心を揺さぶるものはなかった。オルフェの言葉には熱が込められメレを揺さぶりにかかる。
「お前さっき『わたくしだったら』と言ってくれたろ」
「貴方本当にどこから訊いていたのよ!?」
「嬉しかったよ。というか痺れたね。お前だったら、俺は幸せだ」
勝負の前に見せる不敵なものではない。朗らかな表情は効果絶大である。
「メレ様……本当にお人好しですね」
「ノネット。わたくし後悔はしていないし、恨みもしないけれど。今回の件について怒りはするのよ?」
「だ、だって! メレ様が誰かの幸せを願うように、僕らだってメレ様の幸せを願うに決まってます! メレ様も、そろそろ身を固める時期だって!」
主の身を案じて行動してくれた使い魔たちに感謝すべきか、余計なお世話だと非難するべきか。何が敵で味方なのかもはや判別がつかない。混乱するメレを諫めるようにオルフェが前に出る。
「彼らを責めないでやってくれ」
いやお前が言うなと眼を剥いた。
「わたくしの使い魔が迷惑をかけて申し訳なかったとは思っているけれど、人間の婚活にわたくしを巻き込まないでいただける! 妻が欲しいのならランプにでも頼めばいいでしょう。いいわよ、特別に使用を許可するわ。おめでとう、お幸せに!」
衝撃に息継ぎもままならず叫び通す。
「おい。本当にそれをやったとしたら俺はどれだけ惨めな人間だよ」
(……確かに)
ランプに頼って理想の妻を用意してもらう男……もし実行していたら距離はこんなものでは済まないだろう。
「お前に恋して、愛情という感情を見出すことができて良かった。俺はこいつらとの約束を果たせそうだ」
「な、何を勝手に、話を進めているの!?」
それどころかまとめにかかっている気配。
「俺はイヴァン伯爵家の当主、そのためには妻とて利用するつもりでいる。その辺の女じゃ駄目なんだ。お前でなければならないし、お前が良い」
「ちょ、ちょっと!?」
相変わらず話を効かないけれど、捻くれ者の真摯な言葉ほど心を揺さぶるものはなかった。オルフェの言葉には熱が込められメレを揺さぶりにかかる。
「お前さっき『わたくしだったら』と言ってくれたろ」
「貴方本当にどこから訊いていたのよ!?」
「嬉しかったよ。というか痺れたね。お前だったら、俺は幸せだ」
勝負の前に見せる不敵なものではない。朗らかな表情は効果絶大である。