Keeper.ll




訴えれば頬に左手を当てて答える希望さん。

「だってー、相方が譲るっていうからぁ。ならあたしもって。」

というかこの人いつまでナイフ当ててくるんだろ。逃げていいのかな。

目で訴えかければ伝わったようでナイフが退けられた。首元に手を当てて血が出てないか確認する。

指先を見れば赤色の液体は出ていなかった。

この人寸止め上手なんだよなー。後1mm、もしかしたらそれ以下かもしれない。少しでも身じろぎすれば確実に刃先に皮や肉がめりこむ。


はー、怖。



「取り敢えず、どうする?何か飲んでいきなさいな。」

『ありがとうございます。』


紅茶を出されて一息つく。それにしても40代……だよね?しかも後半だった気が。30代前半にしか見えないな。


「なぁに?そんなに見つめちゃってぇ!里香ちゃんみたいに可愛い子に見つめられると少し照れるわよ」


声は低くない。だから大の男がそんな口調でも嫌悪感はない。

『いえ……。いつ見てもお若いな、と思いまして。』


そう言えばムッとしたように唇をつきだす。やることがあざとい女子高生である。普通の男だったらドン引きするはずなのに美形だからで許されるのは素晴らしいね。




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