Keeper.ll


「そんなことはどうでもいいのよ。」

そういってこちらに大きな紙袋を掲げる。

「ずっと気になってたんですけれど、それって何ですか?」

『そうだ。何が入って……?」

望さんがこちらに一歩踏み出して中を見せてくれる。


とあるものを見て千歩と一緒に顔を見合わせる。

「これって、!」

『話が早いなぁ、というかこれどこで仕入れたんです?』

「そりゃあ、、、ね?」

『怖いよ!!何!?追剥でもしたんですか!?』

「してないわよそんなこと!しないわよ気持ち悪い!」

『気持ち悪いも気持ち悪いで失礼でしょ!』

「赤の他人の体温って気持ち悪いでしょうが!」

『まぁ、それは分かりますけど。ってことは、これは未使用とかですか?』

「そうね。もらったのよ。彼、入学する前に退学になっちゃったらしくてね、結局一回も使わないままだったらしいの。」

「入学前に退学!?」

『てか何で希望さんがもっているんですか!?』

「いつかこうなるときもあるかな、と思って」

『いつあるんだよ!』

「今ね」

『今でしたね……』



何が入っていたか。

そう。


この学校の体操服である。
しかも次の種目に紛れ込めるようにご丁寧に男子のものである。



「さあ里香ちゃん、更衣室に案内しなさい。簡単にならそれ用のメイクもしてあげるし、ウィッグもあるわよ」


これが、こちらから求めた親切心だったとしたらとても感謝していただろう。
今回の場合はただの希望さんの面白半分である。

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