Keeper.ll
「やっぱり里香ちゃん選抜メンバーじゃん!流石だね!」
笑いかけてくる千歩に笑いかけることは出来ない。そう、なぜなら。やったことがないから分からない!!!
走ればいいんだよね?
なんか物凄い早い人達と競争して1位になればいいだけの話でしょ?どうせアンカーは3年の先輩でしょうし。
「え〜、やだ!!僕やりたくない!!」
「そんな事言われても…」
ああ、ほら。体育委員が困ってしまっているでは無いか。
「頑張れ、雪くん!!」
千歩が満面の笑みを浮かべて応援する。
少ししかめっ面をした後、「……やる。」と永富が口を開いた。千歩の大勝利である。
3競技……。つまり私は今、竹取物語と選抜リレー、クラス対抗リレーに出ればいいのか?
あれ、これで終わり?
「僕とりかちんは決まったのこれで。3競技だよね?」
そう、そうなのである。
「あ、そうだな。やりたいのあれば適当にやってくれ。つーかさ人数え確保出来ればいいから適当に。」
なんてアバウトな……。
「里香ちゃん」
つんつん、と腕がつつかれる。少しくすぐったい。
『ん?』
こちらを見上げる千歩。茶色の髪の毛はいつ見てもふわふわそう。
「私、借り物競走やりたいなー。」
借り物競走……漫画では見たことあるけど実際にやったことないな。
『私もやる。』
「ほんと!?一緒だ!」
花が咲いたように笑った千歩はやはりお姫様に相応しいくらいの可愛さを持っていた。