Keeper.ll
「あら?」
『今度はどうしました?』
しゃべり方は完全に女の人みたいなのに見た目が思いっきり男の人の希望さんは豪快に口元を手で拭う。
「里香ちゃん、あなたさ。体育祭初めてじゃない?」
『はい、初めてですね。記憶にある限りは。厳密に言えば多分……幼稚園の頃は行ったと思うんですけど。』
「なんか心配になるような言い方しないでよォ。里香ちゃんの勇姿、見に行くわね♡」
『いちいち語尾にハート付けなくていいですよ……、え?希望さん来られるんですか?』
少し驚いて聞き返せば、希望さんは頬を膨らます。だから大の男がそんなことやっても可愛くないですから!
「行きたいわぁ。保護者代わりとしても!!録画してアキとサクラに見せるの!」
そう言って、ニコリと笑った希望さんの口から紡がれる名前にすこし肩が上がった。
アキ、サクラ……愛称ではあるけれどそれは確実に【あの人】の両親の名前で。その人達の息子___【あの人】を殺したも同然な私にはかなり息が苦しい話だ。