Keeper.ll
「輝くんに、律くん!?」
千歩の声はとてもとても大きかった。大きいことに加えて、高さ的にもよく通る。
すぐに届いたのだろう、2人が振り返った。
「おー、千歩に紫陽じゃねぇか。」
「2人ともどうしたの?」
2人は、学ランを着ていた。そう、学ランなのである。一見普通の格好もブレザーの星ヶ丘高校で着ているとなると浮いている。
『千歩が先生のお使いでノート渡しに行ったの。その付き添い。』
説明すれば、隣で千歩がウンウンと頷いている。もう少し首ゆっくり振ることを私はオススメするよ。
というかウンウン頷くよりもブンブンの方が近いな。絶対風を切ってる音が耳元でしてるでしょ。
時友と相澤を近くで見る。私たちは上履きだから近くに行けないけれど、時友達がこっちに来てくれたのだ。
「ハチマキ?」
「うん、そう。」
赤色の長いハチマキを額に巻いた2人。そうだ、こいつらやっぱり顔いいんだよなぁ。
ハチマキを巻いた額、白色の手袋を付けた大きな手。そしてがっしりとした学ランはどう見ても応援団の姿で。
『あ、そっか。相澤、応援団って言ってたもんね。……あれ、時友も言ってたっけ?』