Keeper.ll
大きな声で叫んだせいで、喉がかわいたのでペットボトルのキャップを捻る。ベリー系の匂いがした。
口に含めば甘い味。
『なんか、久しぶりに飲んだ気がする、ジュース。』
「へー。ここ色々入ってるから好きなの飲めよ。」
『うん、ありがとう。』
少し長話をしすぎたせいか、ペットボトルの表面には水滴が浮かんでいる。
プルルルルル、プルルルルルル、
「何か鳴ってねぇ?」
『あ、私の携帯だ。』
「おう。んじゃ俺、先戻ってるわ。」
『うん、分かった』
携帯を取り出して、誰からかを確認すればそこに書かれている文字は希望さん。
珍しいな、何があったんだろう。
ピッ、と応答ボタンを押せば少しだけ緊迫したような声。
「里香ちゃん、今日の夜来てくれないかしら?少し確認したいことがあるの。」
『分かりました。今夜行きます。』
なんだろ、希望さんが用あるなんて。この前の話だろうか。
考えたくなくて、首を振る。
『はぁー、難儀だなぁ……』
ため息をひとつ、こぼした。