Keeper.ll
そこには霧雨薄が蛇雁の総長だと言うことが書かれてあった。誰の目撃情報なのか、ご丁寧にそいつが喧嘩している動画まで着いている。
時友は再生をし終えたあとなのか、気になった様子だった千歩に必死に辞めるように言う。
「千歩ちゃんはダメ、これはダメ、ヤバイ。」
「そんなに…?」
千歩がちらりとこちらを見たのでヒラヒラと手を振った。
『痛い、なに、』
相澤に頭を叩かれたのは解せぬ。
「お前、律が顔を真っ青にするなんて相当だぞ。それと少しやり合って頬だけって…やべぇな。化物かよ。」
『失礼だな』
化け物ですが何か?というか【あの人】の方が何倍も化け物でしたが?化け物に拾われたらそりゃあ自分も化け物になるだろ。なってもおかしくはないだろう。
「この蛇雁と言う族は、この前千歩ちゃんを攫った時の暴走族で間違いないと思う。その時に1人だけ逃げた総長だね。」
希望さんの情報と一致している。ひとつ頷く。
「誰に動かされているのか、こいつが黒幕なのかは出たか。」
十勝の問に時友が首をゆるりと振った。
「まだ出ていない。だけれどあの時の事件の扇動者はこいつで間違いないだろうね。強さ的にあんな雑魚の族の総長と言うのに少し疑問がある。……多分、別に黒幕がいてそいつが霧雨に指示を出したとみて間違いないと思う。」
『私もそう思う。戦ってる時に電話がかかってきてあいつは引き上げた。その電話の相手が誰かまではわからなかったけれど、多分そいつが真の黒幕だと思う。』
十勝がひとつ頷いた。