Keeper.ll
下に降りれば困惑そうな顔をしていた奴らがバッとこちらを見た。扉を出た音に反応して、いっせいにだよ、恐怖だよ。
今回のことが十勝の口から語られる。それから対策としてできるだけ複数で行動すること、泊まれるやつは倉庫にいた方が安心だろうとも言っていた。
現在わかる状況を掻い摘んで述べていく。
それを横でたんたんと聞いていたが、ふと、別の考えが浮かんだ。
……裏切り者とか、いないよね?
でも多分、もし裏切り者がいたとしたら霧雨はからかい半分に言いそうな気がする。なぜ、会ったばかりの人間の言動の想像が着くのかは分からないけれど。
知っている気がする、そいつの奥にいる誰かを、あの笑い方を。
「紫陽、おい、おーい?紫陽さーん?」
呼ばれた声が届いてハッ、と顔をあげれば呆れたような顔をした相澤、その横でケラケラと笑っている永富、その永富の肩に手をかけながらこれまた呆れたように微笑む時友がいた。
『ごめん、聞いてなかった、何?』
「……、はー。」
『ごめんって、そんなにおもむろにため息つかないでよ。』
ムスッとした顔で十勝がこちらを見る。だからごめんって言ってるじゃん。
「幹部も、これからは最低でも2人ずつで行動した方がいいだろう。お前もこの中の誰かと一緒にいろよ。1人でも平気だという言葉は許さない。分かったか、紫陽。」
『えっ、う、うん分かった。』
そう頷けば十勝も満足そうに目が弧を描いた。
解散、と告げた十勝の指示に従い再び階段を昇って幹部室へと行く。
体育祭はもう間近だ。