好きって、むずかしい。
「……ふう」
私は溜息をついて、屋上へと続く階段を登る。
今は昼休みで、お弁当を食べる相手がいない私は、いつもなるべく人のいないところでご飯を食べている。
昨日は中庭で食べてたけど、途中で人が来てしまって、注目を浴びて仕方なかった。
だから今日は屋上にしようと思う。
屋上なら立ち入り禁止だからきっと誰も来ないし、鍵がかかっていたら壊せばいい。
中学のときはサラと隼瀬と恭成と4人で、立ち入り禁止の屋上に行ってよくお喋りしてた。
今はもう、みんなバラバラだけど。
恭成とは同じクラスだけど、ご飯を一緒に食べないことには理由がある。
なるべく学校では関わらないって、二人で決めたから。
__中学のときみたいなことに、ならないように。
屋上についてドアノブを回すと、鍵はかかっていなくてすんなりカチャリと開いた。
おかしいな、立ち入り禁止のはずなのに。
もしかして、立ち入り禁止っていう名目だけど、実はみんなの秘密の憩い場になってたり……?
もしそうだったらまた場所を探さなきゃ。
そんなことを思いながら屋上に出ると、底にはただペンキで塗りたくったように蒼い空が広がっていて、他には誰もいなかった。
「なんだ……誰もいないんだ」
私は歩いていって、丁度よさそうな隅に座る。
お弁当を広げると、サラが作ってくれた綺麗でかわいいおかずが色とりどりに並んでいた。
不意に笑みがこぼれる。
ウキウキしながらおかずのひとつに箸を伸ばした。
「すげーおいしそう! 自分で作ったの?」
ふと、上から声がした。
「!?」
びっくりして上を見上げると、上から私を見下ろす男の子がいた。
屋上にはもう1段上に上がれる場所があって、どうやら設置されたはしごを使ってそこに登ったみたいだった。
「え……」
ていうかそこ登っていいの?
まあ屋上勝手に入ってる時点で私も他人のこと言えないけど……。
「俺今日弁当なくてさ〜、分けてくんない?」
そう言うと、彼ははしごを使って降りてきた。
真っ黒の髪の毛に、左右に開いたピアス。
端正な顔立ちの男の子だなあ。
……あ、ピアスの位置が恭成と一緒だ。
「俺、篠田 紘っていいます! 1年C組です」
「あ、私は」
「待って、俺君のこと知ってる! 1-Aの佐伯優奈ちゃんでしょ?」
「え」
「めちゃくちゃ有名じゃん! でも俺のことは知らないよね?」
私は意味がわからなくて頭の上にハテナを浮かべる。
すると彼__篠田くんはスマホを取り出して少しいじったあと、画面を私に見せてきた。
「俺も一応有名なんだ! 君らには負けたけど!」
そう言って見せてきた画面にはTwitterが表示されていて、篠田くんの端正な顔をおそらく隠し撮りしたであろう写真と、『3Cミスターコン候補!篠田紘!』と書かれた文字が。
「これさ……消してもらうことって出来ないの? 私こんなの嬉しくもなんともないよ」
「ええっなんで? 俺はイケメンって言われるの嬉しいけどな。優奈ちゃんは嬉しくないの?」
「嬉しくなくはないけど、特別嬉しいってわけでもなくて、それよりも友達が欲しいな」
私がため息まじりにそう言うと、篠田くんは一瞬驚いた顔をした。
そしてニカッと笑った。
「俺と同じだ」
「え?」
「俺も周りの視線が窮屈で、毎日ここに逃げてる。友達いないわけじゃないけど、一人の時間も欲しいよね。毎時間毎時間ワイワイされたら、ちょっと疲れる」
私は溜息をついて、屋上へと続く階段を登る。
今は昼休みで、お弁当を食べる相手がいない私は、いつもなるべく人のいないところでご飯を食べている。
昨日は中庭で食べてたけど、途中で人が来てしまって、注目を浴びて仕方なかった。
だから今日は屋上にしようと思う。
屋上なら立ち入り禁止だからきっと誰も来ないし、鍵がかかっていたら壊せばいい。
中学のときはサラと隼瀬と恭成と4人で、立ち入り禁止の屋上に行ってよくお喋りしてた。
今はもう、みんなバラバラだけど。
恭成とは同じクラスだけど、ご飯を一緒に食べないことには理由がある。
なるべく学校では関わらないって、二人で決めたから。
__中学のときみたいなことに、ならないように。
屋上についてドアノブを回すと、鍵はかかっていなくてすんなりカチャリと開いた。
おかしいな、立ち入り禁止のはずなのに。
もしかして、立ち入り禁止っていう名目だけど、実はみんなの秘密の憩い場になってたり……?
もしそうだったらまた場所を探さなきゃ。
そんなことを思いながら屋上に出ると、底にはただペンキで塗りたくったように蒼い空が広がっていて、他には誰もいなかった。
「なんだ……誰もいないんだ」
私は歩いていって、丁度よさそうな隅に座る。
お弁当を広げると、サラが作ってくれた綺麗でかわいいおかずが色とりどりに並んでいた。
不意に笑みがこぼれる。
ウキウキしながらおかずのひとつに箸を伸ばした。
「すげーおいしそう! 自分で作ったの?」
ふと、上から声がした。
「!?」
びっくりして上を見上げると、上から私を見下ろす男の子がいた。
屋上にはもう1段上に上がれる場所があって、どうやら設置されたはしごを使ってそこに登ったみたいだった。
「え……」
ていうかそこ登っていいの?
まあ屋上勝手に入ってる時点で私も他人のこと言えないけど……。
「俺今日弁当なくてさ〜、分けてくんない?」
そう言うと、彼ははしごを使って降りてきた。
真っ黒の髪の毛に、左右に開いたピアス。
端正な顔立ちの男の子だなあ。
……あ、ピアスの位置が恭成と一緒だ。
「俺、篠田 紘っていいます! 1年C組です」
「あ、私は」
「待って、俺君のこと知ってる! 1-Aの佐伯優奈ちゃんでしょ?」
「え」
「めちゃくちゃ有名じゃん! でも俺のことは知らないよね?」
私は意味がわからなくて頭の上にハテナを浮かべる。
すると彼__篠田くんはスマホを取り出して少しいじったあと、画面を私に見せてきた。
「俺も一応有名なんだ! 君らには負けたけど!」
そう言って見せてきた画面にはTwitterが表示されていて、篠田くんの端正な顔をおそらく隠し撮りしたであろう写真と、『3Cミスターコン候補!篠田紘!』と書かれた文字が。
「これさ……消してもらうことって出来ないの? 私こんなの嬉しくもなんともないよ」
「ええっなんで? 俺はイケメンって言われるの嬉しいけどな。優奈ちゃんは嬉しくないの?」
「嬉しくなくはないけど、特別嬉しいってわけでもなくて、それよりも友達が欲しいな」
私がため息まじりにそう言うと、篠田くんは一瞬驚いた顔をした。
そしてニカッと笑った。
「俺と同じだ」
「え?」
「俺も周りの視線が窮屈で、毎日ここに逃げてる。友達いないわけじゃないけど、一人の時間も欲しいよね。毎時間毎時間ワイワイされたら、ちょっと疲れる」