カッコウ Ⅱ
「お父さんは、大翔に知られたくなかったんだ。」

孝明は『血が繋がってないことを』という言葉を飲み込んだ。

大翔も軽く目を伏せる。そして
 
「でも、知っちゃったし。」

と吐き捨てるように言う。
 


「なあ、大翔。血の繋がりってなんだろうな。そんなに大事なことかな。」

孝明の言葉に大翔は驚いて顔を上げる。
 
「大翔は生まれた時からお父さんの子供だっただろう。近くにいて、色々教えて。血の繋がりがないって言われても、じゃあそうかって思えないよ。」

孝明はそこで言葉を切って大翔を見つめた。
 
「大翔が俺を父親にしてくれたんだ。お父さんはずっと大翔のお父さんだよ。」

孝明の言葉をじっと聞いていた大翔の目から、大粒の涙がこぼれた。

大翔は黙って唇を噛みしめている。何も言えずに。
 

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