カッコウ Ⅱ
哲也は、今更ながらみどりが失ったものの大きさを思った。

一度は孝明に愛されて、孝明と幸せな家庭を築いたのに。

自分の裏切りで手から逃げて行った幸せ。
 

傷付いた孝明は、また立ち上がって幸せを掴んだ。

でもみどりは、今度は大翔を傷付けた。

大翔の心はみどりから離れてしまった。
 


人は弱いものだけれど、決して踏み込んではいけない場所がある。

そこから抜け出さない限り、満たされることはないのだろう。
 


哲也は初めてみどりを憐れんだ。

どんなに家族を傷付けても、自分は幸せになれないみどり。

早く気付いてほしい。

誠実に生きることの大切さを。

そして抜け出してほしいと、心から思っていた。
 
 


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