カッコウ Ⅱ
「俺、お母さんのしたこと許せないし、信じられないよ。でも俺はお母さんとは違うから。自分のまわりを傷付けるような生き方は絶対しない。」

大翔の言葉はみどりの心に突き刺さる。
　
「俺のこと、ハルが知ったらどう思う？ハルだってすごく傷付くよ。そういうこと、考えたことある？」

大翔は強い口調で続けた。
　

「お母さんは、絶対にしてはいけないことをしたんだよ。あの人とだけは、会ったらいけなかったんだ。わからなかったの？」

大翔は茂樹を“あの人”と呼んだ。

みどりは胸を強く打たれたような衝撃で、息苦しくなる。
　

「お母さんがまだあの人と会うなら、祖父ちゃんち出て行ってほしい。俺はハルを守りたいから。俺、高校を卒業したら働いて、ハルを高校に行かせるから。」


大翔の言葉に
　
「ヒロ。」と言ってみどりは絶句する。

大翔にそこまで言わせてしまった。

大翔はどんな思いで、そこまで考えたのだろう。

自分だって傷付いているのに。
　



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