カッコウ Ⅱ
祖父も祖母も何かを感じていたはず。

でも何も聞かないのは、大翔を信じているからだと思った。

だから大翔は何も言わなかった。

でも、大翔が笑顔で帰ってきたことで、祖父も祖母も安心していると思った。
 


「そろそろ、本腰入れて受験勉強しないとね。うちには浪人する余裕、ないから。」

祖父と一緒に荷物を運びながら大翔が言うと、
 
「その言葉、ハルに聞かせてやってくれ。」

と祖父は笑う。
 
「ハルは大丈夫だよ、高校なんて、どこかに入れるから。」

大翔が言う。
 
「どこかじゃなくて、ヒロの学校、目指さないと駄目だろう。」

祖父の言葉に
 
「祖父ちゃん、それは厳しいね。」

と言って大翔も笑った。
 


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