カッコウ Ⅱ
その夜、仕事から帰ってきたみどりは、駐車場に大翔の自転車を見て、慌てて家に入った。
 
「ただいま。ヒロ、帰って来たの?」

バタバタと台所に入って来て、そこで食事をしている大翔を見た。
 
「おかえり。俺の部屋、まだ暑いね。お母さん、クーラー付けてよ。」

普通に話す大翔に驚いて、思わずみどりは頷く。
 
「祖母ちゃん、お母さん、今、うんって言ったよ。」

明るく笑う大翔に、みどりは涙汲んでしまう。
 
「大学合格したらよ。」

と泣き笑いの様な顔で言い返すと、
 
「はあ。受験勉強する為に付けるんじゃないの?」

と大翔は声を出して笑った。
 


< 133 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop