カッコウ Ⅱ
頭が混乱して現実を理解できない大翔は、駅ビルの中を歩き続けた。

落ち着け、落ち着け。

と自分に言いながら、エスカレーターに乗り上に昇っていく。

何階か上がった所にブックショップが見えて大翔はそこに向かう。
 

大学受験関係の参考書のコーナー、一冊を手に取る大翔。

文字は全く目に入らないけれど、本を開く行為が大翔を落ち着かせる。
 

あの人は誰なんだ。

何故、自分に似ているのか。

みどりは何故、あの人と会っているんだ。


大翔の胸を揺さぶる疑問に答えてくれる人はいない。

16才の大翔には受止めきれない現実が目の前にあった。
 


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