カッコウ Ⅱ
「おう、ヒロ。どうした。」

お風呂から上がった哲也は、大翔の前に座る。

由美は子供達を寝かし付けている。
 
「うん。お母さんと喧嘩して。でも哲ちゃんち来たら、どうでも良くなっちゃった。」

大翔は苦笑する。

哲也の家の賑やかで温かな雰囲気が大翔を落ち着かせていた。
 
「勉強しろ、って叱られたか。ヒロは成績いいんだろう。」

何も知らない哲也は平和な事を言う。
 
「そんなことならいいけどね。」

大翔は哲也に話すかどうか迷う。
 
「何だよ、深刻だな。ヒロが言いたくないなら言うな。何も聞かないよ。」

哲也は冷蔵庫から缶ビールを取りだし、
 
「ヒロも飲むか?」と笑った。
 


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